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Japan Blog

ダイバーシティ & インクルージョン

Project Guideline が新たな一歩へ: AR などの新技術の導入と横浜市での定期走行会を開始

Project Guideline の最新アップデートについての動画。
10:25

Project Guideline は、視覚障がいの方が、AI の力で一人で自由に走ることを可能にすることを目指す Google の研究開発プロジェクトです。通常は伴走者の助けを得て走る視覚障がいのランナーの「自分の思う通りに、誰にも頼ることなく自由に走ってみたい」との思いに応えるために、機械学習技術を活用した画像認識 AI を開発し、日本でも 2021 年に発表しました。

そして本日より、Project Guideline は新たな一歩を踏み出します。

これまで多くの視覚障がいランナーのみなさまに実際にテストしてもらい、フィードバックをいただいてきました。その中でもご要望の多かった表示言語の日本語対応に加えて、拡張現実(AR) などの新しい技術をシステムに新たに導入したことにより、空間認識能力がさらに向上されます。また、より多くの視覚障がいの方が Project Guideline を体験できる定期走行会プログラムを横浜市内で開始します。

より安全で、使いやすい技術へ

Project Guideline は、Android スマートフォンで動作する画像認識技術を使用しています。地面に引かれた色のついた線を見分け、その線がランナーよりも左か、右か、中央なのかを瞬時に判断し、ヘッドフォンを通じて音声シグナルを送ります。ランナーはその音を頼りに、線から逸れることなくランニングを楽しめる仕組みです。

Project Guideline が使用している画像認識技術を説明するGIF画像。

そして今回、Google が開発する拡張現実(AR)プラットフォーム ARCore などの技術を組み合わせることで、空間認識能力をさらに向上させた新システムへとアップデートしました。それにより、前方にあるカーブを事前に認識して高い精度でランナーに通知することが可能になりました。また、この空間認識能力を活用して障害物の検知に対応させることなどにも取り組んでいます。さらに、日本で今後、幅広く活用されていくことを想定し、アプリ内の表示を英語に加えて日本語にも対応しました。こういったシステムの進歩はすべて、より安全で使いやすい体験を実現することを目指したものです。

Project Guideline のアプリは日本語にも対応できることを示すGIF画像。

2023年には、主にアクセシビリティ分野で技術革新に取り組む方々のコミュニティに貢献するため、Project Guideline をオープンソースとして公開しました。開発した基幹技術のソースコードや学習済みの画像認識モデル 、3Dシミュレータなどを無料でどなたでもご利用いただけます。これにより、世界中の開発者や研究者が Project Guideline の AI 技術を新たなアクセシビリティへの取り組みに活用したり、さらには全く新しい分野の技術開発に応用したりもできるようになりました。

より多くの方に「自由に、思うままに走る」体験を

Project Guideline は、技術開発とユーザー体験の改良を重ねている開発中のプロジェクトです。当事者である視覚障がい者コミュニティの方々にデザイン・開発の過程に参加していただくことが最も大切だと考え、視覚障がいランナーの方々に実際に Project Guideline をテストしてもらい、ユーザーにとってより安全で使いやすいシステムにしていくためのフィードバックをいただくことに取り組んできました。

そして今回、横浜市の障害者スポーツ文化センター横浜ラポールの協力のもと、視覚障がいのランナーの方が Project Guideline を体験できる定期走行会プログラムを開始します。それによって、より多くのランナーの方に、自由に、一人で走れる体験をしていただき、 Project Guideline をよりよい技術としていくためのご意見をいただける環境を作っていきます。定期走行会は、横浜ラポールの地下陸上トラックに特設された Project Guideline 用のレーンで実施します。申し込みの方法などの詳細は横浜ラポールのウェブサイトからご覧ください。

また、同様に Project Guideline を施設に導入し、視覚障がいのあるランナー向けのプログラムを提供する全国のパートナーを募集しています。関心のある自治体や団体の方はパートナー募集フォームからご連絡ください。

Project Guideline では今後も、当事者を含むコミュニティと協業する形での研究開発を進めると同時に、より多くの視覚障がいのある方が「自由に、思うままに走る」ことのできる環境を作るための活動を続けていきます。