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デジタル市場競争会議ヒアリング会合冒頭挨拶



以下は、3 月 17 日に開かれたデジタル市場競争会議ヒアリング会合冒頭での挨拶(全文)です。

はじめに

加藤内閣官房長官とデジタル市場競争本部の皆様、本日はお招きいただき誠にありがとうございます。Google を代表して感謝申し上げるとともに、デジタル プラットフォームとそのビジネス パートナーとの関係強化に向けた政府の積極的な取り組みを歓迎いたします。

Google 日本法人は、Gmail や YouTube、Chrome が生まれるよりも前の、Google がたった 3 歳だった時期に初の海外拠点として設立されました。これは当社が長年、日本市場に深い関わりを持ち続けてきたことの証のひとつであり、その設立時から今日に至るまで情熱をもって日本の皆様と日本経済の成功を支援して参りました。日本の成功こそが、私たちの成功でもあると確信しております。

Google の日本へのコミットメント

私たちは日本の経済成長とコロナ禍からの回復において重要な役割を果たし、日本のデジタルトランスフォーメーションを加速するパートナーとなるべく事業を展開しております。2020 年の独自調査によれば、日本企業が Google 製品から得た経済的利益は 12 ヶ月間で 3.2 兆円( 301 億米ドル)に上ると試算されています。

日本の人材育成にも Google は継続的に投資しています。例えば、現在までに全国 45 都道府県で 550 万人が無償のデジタルスキル研修プログラムである「 Grow with Google 」を受講しています。このプログラムでは、店舗ごとのコロナ対策をマップで表示する方法から、デジタルマーケティングの基本といった中小企業が即座に活用できるコンテンツまで幅広く提供しています。 日本のデジタル経済成長に一層貢献するべく、今後も同様の取り組みを拡大していきます。

更に本日(米国時間 16 日)、すべての開発者に対し、デジタル商品やサービスに関する Google Play の収入において年間 100 万米ドルを上限に 7 月 1 日からサービス手数料を 15% にすることを 発表 しました。小規模アプリ開発者を始めとしたあらゆる開発者のビジネスを成長させる上で、さらなる支援となることを期待しています。

広告の役割

デジタル広告は( Google が提供するものも含め)、日本企業が国内外で新規顧客を開拓し、自社の重要な顧客に効率的にアプローチするための手段を提供するなど、日本経済の発展を支えています。デジタル広告によって、多くの人がウェブ上で質の高い情報に自由にアクセスできるようになり、学ぶ機会の拡充や、交流方法の多様化、さらにはあらゆるビジネスの成長促進につながりました。オープンなアドテクエコシステムは広告市場の成長を促進し、媒体社にとって新たな収益機会を創出し、結果としてインターネットはすべての人に開かれたものとして存在しています。

一方で、デジタル広告業界がサイト横断的に個人を特定しうる情報を使用するにあたって、公共政策上の観点から合理的な疑問があることも認識しています。デジタル広告がオープンなウェブを支えるモデルとして機能するためには、利用者のプライバシーが尊重され、同時に日本の広告主や媒体社におけるビジネスの成長を後押しする技術の存在が不可欠です。そのため、Google では利用者のプライバシー保護のために、業界関係者全員との連携と努力が必要であることを繰り返し表明しており、ちょうど 2 週間前にも 広告製品でのさらなるプライバシー強化を発表 しました。この発表では、サードパーティクッキーだけでなく、その機能を複製してウェブ閲覧時に個人を追跡しようとするあらゆる技術を廃止することを表明しています。Google は引き続き、プライバシーとセキュリティの確保に加え、利用者の選択が尊重される仕組みの構築を継続するとともに、デジタル広告によってあらゆる人が多様なコンテンツに平等にアクセスできる、活気あるオープンなエコシステムの維持に尽力してまいります。

デジタル広告と規制

デジタル広告の世界は非常に競争が激しく、その技術は日進月歩で変化します。日本政府と本会議がこうした変化に伴う様々な課題に関心を持たれるのは当然であり、業界の発展のために必要であることは承知しています。

Google は、規制全般に対して「スマート レギュレーション(スマートな規制)」のアプローチを支持しています。スマートな規制の適切な履行は、イノベーションと成長を阻害することなく、ユーザーエクスペリエンスの向上や利用者のセキュリティとプライバシー保護を実現します。さらに、国内外の企業にとってアルゴリズムのようなビジネス上の秘密情報にあたる内容の強制的な開示が引き起こす意図せぬ情報漏えいといった悪影響を回避することも可能です。これは Google にとって重要であるだけでなく、日本の消費者、広告主、媒体社すべてにとって平等に意味のあるものだと考えています。

プラットフォーム規制において、政府は共同規制アプローチを検討しており、それは現場での実務が急速に変化していくことを踏まえて、企業の自主性を尊重することに動機づけられたものであると理解しています。Google は、政府によるプラットフォーム規制の取り組みにおいて、引き続き政府と密に協力し、現場の視点から実務に即した形で重要な政策目的が達成されるよう、具体的な提言を継続的に行ってまいります。

さらに、日本企業や消費者にとってメリットのある製品やサービスへの意図せぬ悪影響を最小限に留めるためには、段階的に規制を導入するアプローチの採用が重要であると考えています。業界主導の自主的な取り組みに対する政府の支援が奏功した例は枚挙に暇がありません。今後とも、広告業界における取り組みとその拡大にご支援を賜りますようお願い申し上げます。 日本政府におかれましては、現在も進行中の自主的な取り組みに照らして、広告業界のさらなる発展を促すスマートな共同規制を中心に検討くださるよう重ねてお願いいたします。

デジタル広告にかかる様々な課題は、消費者をはじめとする関係者の皆様にとってその複雑さに起因して、仕組みがわかりにくいこともまた事実でしょう。Google ではこのわかりにくさをできるだけ解消し、消費者、企業、政策立案者の皆様に対して分かりやすい説明を心がけています。今後とも Google 製品とサービスのより明確な説明の提供をお約束します。

おわりに

最後に、このように重要な協議の機会を与えてくださった日本政府の皆さまに心より感謝申し上げます。Google は今後も、日本政府及び業界関係者との積極的な対話と協力、そして取り組みの強化・改善を通じ、日本の重要な政策課題の解決に向けて尽力してまいります。