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日本のプログラミング教育を支援するカリキュラム「CS First」を公開

パソコンでプログラミングを学んでいる学生の画像。

2020 年度の学習指導要領改訂に伴い、小学校におけるプログラミング教育が必修化されました。Google では、Google.org を通した特定非営利活動法人みんなのコードの教材開発および教員研修への ご支援 や、文部科学省が協力企業と連携した総合的な学習の時間におけるプログラミング教育を推進する「 みらプロ 」への AI プログラミングのツールやカリキュラムの提供 などを通して、子どもたちが、性別や家庭環境に関わらず、公教育の中でプログラミング教育を受けられるよう取り組んでいます。本日は、その取組の一環として、新しく日本のプログラミング教育を支援するカリキュラム「 CS First 」を公開しましたので、本ブログにてご紹介します。


日本におけるプログラミング教育

特定非営利活動法人みんなのコードが Google.org の支援のもと調査した、国内の学校教育における「 プログラミング教育実態調査 」によると、7 割を超える子どもたちが、プログラミングを楽しんでいるという好意的な結果が出ている他、プログラミング教育の経験可否が、その後のキャリアにも影響する可能性があることなどが明らかになりました。このように、子どもたちからの好意的な反応が得られている一方で、コロナ禍での休校や補習の対応、端末の整備など、通常のカリキュラムに加えて学校、教員への負担が増えている中、プログラミング教育を小学校の授業で取り入れることが難しいという状況も発生しています。教員向けの調査によると、「教員の専門性の不足」「指導・授業展開の難しさ」「教材・資料の不足」がプログラミング教育実施に向けての課題として挙げられており、環境の整備やさらなる支援が必要とされている実態も判明しています。
小学校におけるプログラミング教育の実施に向けて、文部科学省は プログラミング教育の手引 や、 小学校プログラミング教育に関する研修教材 を公開しています。これらにはプログラミング言語の指定はないものの、研修教材として Scratch(注 1) が取り上げられていることもあり、多くの学校では Scratch のようなビジュアル型のプログラミング言語でプログラミング教育に取り組んでいる、もしくはこれから取り組まれようとしています。

コンピュータ サイエンス教育のカリキュラム CS First  

そこで Google では、小学校におけるプログラミング教育実践のさらなる支援に向けて、Scratch を活用したコンピュータ サイエンス教育のカリキュラム、 CS First を日本向けに本日公開しました。CS First は、2014 年に北米で開始し、これまで 100 以上の国の 200 万人以上の子どもたちと、7 万人以上の教員の皆様にご活用頂いています。この度公開した日本向けの CS First では、日本のプログラミング教育に即したカリキュラムを新たに開発しました。

CS First は、小学校 3 年生から 6 年生向けに設計した、使いやすい無料のコンピュータ サイエンス教育カリキュラムです。教員は本カリキュラムで、CS First ウェブサイト内の、Scratch コードエディタの特別バージョンである、Scratch for CS First を使って子どもたちにプログラミングの基礎を教えることができます。オンラインで誰でも利用でき、 Google Workspace for Education あるいは CS First のアカウントでログインをして CS First のクラスを作ることで、児童生徒の進捗やプログラムも確認可能です。Google Workspace for Education のアカウントをお持ちの場合は、Google Classroom からのクラスの取り込みも行えます。楽しく学べる以下の 2 つのコース をご用意しています。

  • Scratch for CS First でプログラミングをはじめよう:主に 3 年生以上の Scratch を触ったことのない小学生を対象。自分のアイデアをとりいれたプロジェクトを作りながら、Scratch の基礎に加えて、プログラミング的思考の中心となるようなプログラミングの基礎(順次、繰り返し、条件分岐、イベント等)を学べるコース。
  • 私たちのまちのよさをプログラミングで広めよう:主に 5 年生以上の Scratch を触ったことのある、もしくは上記のコースを修了している小学生を対象。全体で 12 時間程度の総合的な学習の時間における探究的な学びを通して(指導案)、3 〜 6 時間程度で、自分のまちの魅力を紹介するプログラム(まちの紹介アニメーション、クイズ、地図アプリ)を開発し、プログラミングを表現の手段として用いることができるコース。特定非営利活動法人みんなのコードの協力を得て開発しました。
Scratch コードエディタの特別バージョンの画面の画像。

一部の小学校において、事前に CS First をお試し頂き、プログラミング教育の実践をしていただきました。その様子を動画でご紹介しているので、ぜひご覧ください。

CS First の活動を紹介する動画。
10:25

CS First の公開にあわせ、実際に小学校でのプログラミング教育の中で活用されたい教員向けに、「CS First を活用した、小学校でのプログラミング教育実践」オンライントレーニングを、無料のデジタルスキルトレーニング「Grow with Google」の取り組みの一環としてご用意しました。小学校におけるプログラミング教育必修化の背景、CS First の使い方、総合的な学習の時間における効果的な活用方法など、幅広くご紹介しています。

また、特定非営利活動法人タイプティーより、CS First や Scratch をプログラミングにおいて活用している、もしくはこれから活用されたい小中学校の教員の方を対象としたオンラインコミュニティも設立されました。オンラインでの事例の発表や勉強会などを通して、プログラミング教育に興味のある他の先生方と交流ができますので、ぜひご参加ください。

CS First が、教員のみなさまによるプログラミング教育実施への一助となり、より多くの子どもたちの楽しいプログラミング学習につながれば幸いです。Google は、今後とも、子どもたちがプログラミングをはじめとするコンピュータ サイエンス教育を別け隔てなく受けられるための支援に取り組んでまいります。

注 1:Scratch は MIT Media Lab の Lifelong Kindergarten グループとの協力による Scratch Foundation のプロジェクトです。https://scratch.mit.edu で提供されています。Scratch Web サイトの利用については、利用規約プライバシーポリシーをご確認ください。