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Japan Blog

AI

東京大学、シカゴ大学と量子コンピューティングのパートナーシップを締結

提携書面を持つシカゴ大学、Google、と東京大学からの代表。

G7サミット開催の広島市にて署名式に参加

Google は、日米政府による量子コンピューティングにおける協力の支援の一環として、シカゴ大学および東京大学と量子コンピューティング パートナーシップを締結し、10 年間で最大 1 億ドルの共同出資を行うことを発表しました。G7 および日米首脳会議に合わせて広島市内でアントニー・ブリンケン米国国務長官と永岡桂子文部科学大臣お立ち会いのもと、 5 月 21 日に署名式が行われました。

Google は、3 機関の多様な強みを基盤として、誤り耐性型量子コンピューター開発の加速、研究者やアイデアの交換に向けた支援、量子コンピューティングにおけるアントレプレナーシップとビジネスの促進、量子コンピューティングに必要な人材育成など、次世代に向けた重要研究テーマへの投資を行います。

このパートナーシップは、「複雑な計算および誤り訂正可能な大規模量子コンピューターの構築」という Google Quantum AI の使命に沿ったものです。この取り組みにより、新薬開発のための分子特定、より持続可能なバッテリーの開発、堅牢な情報セキュリティの提供、今後の科学研究の進歩の促進など、多くの人々の生活に具体的な利益をもたらす、大きな可能性が解き放たれると Google は確信しています。

Google は、このパートナーシップに 10 年間で最大 5,000 万ドルを出資いたします。これには下記の内容が含まれます。

  • 量子コンピューティングリソースへのアクセス: 2019 年、Google Quantum AI は、世界で初めて量子超越性を示し、従来のコンピューターでは再現不可能なランダム回路サンプリングの実験に関する論文を公開しました。そして 2023 年、チームは量子ビットの数を増やすことで誤り率を低減できることを実験的に実証し、スケーラブルな量子誤り訂正を世界で初めて報告しました。これらのマイルストーンは、共に誤り訂正可能な大規模量子コンピューターの実現にとって重要です。Google は、今回のパートナーシップの支援において、シカゴ大学および東京大学の研究者に向け、世界水準の高度な量子プロセッサを提供します。このプロセッサは、最大 72 個の超伝導量子ビットを 1 量子ビットゲート(誤り率 0.001)と 2 量子ビットゲート(誤り率 0.003)で同時に作動させることができます。
  • 古典コンピューティングリソースへのアクセス: 量子コンピューティング研究と教育の多くの分野も、現在の小規模量子コンピューターを対象とすれば、古典コンピュータを活用したシミュレーション、データ分析、ベンチマークから恩恵を受けることができます。プログラミングおよび量子コンピューター アルゴリズム開発の教育に向けて、大学生や教職員を対象とした Google Cloud クレジットを提供します。
  • 研究補助金: 物理学、アルゴリズム、材料科学、および量子コンピューティングを前進する可能性のあるその他の分野において、基礎的および工学的な新たなブレークスルーを促進するため、特定の研究課題に補助金を提供します。対象となる研究は、2 準位欠陥、超伝導材料、コヒーレンス時間の増加、大規模量子システムのベンチマーク、さまざまなアプリケーションにおける量子コンピューターの優位性の実証などです。
  • 学生への研究助成金: 今後数年間に量子コンピューティング分野をリードする科学者の多くは、米国、日本などの大学に現在在籍する才能に溢れた学生たちです。Google は、有望なプロジェクトに資金を提供することで、キャリア開発を支援し、研究の進歩を促進します。
  • アントレプレナーシップと事業の開発: 量子コンピューティング分野は、新しいアプローチ、新しい用途、必要な隣接テクノロジーの実験に意欲的に取り組む研究室や企業のエコシステムから恩恵を受けます。Google は、大学によって選ばれたシカゴおよび東京都市圏のスタートアップに対して、独占的な専用プログラムとグローバル パートナー ネットワークへのアクセスを提供し、Google for Startups ブートキャンプに参加する機会を提供します。
  • 人材育成: 実用規模の誤り耐性型量子コンピューターを構築し、最も有益な活用方法を見つけるのに必要なのは、物理学者や量子アルゴリズムの専門家だけではありません。量子コンピューティングには、エレクトロニクス分野、チップ製造、配線およびハードウェア設計、システム最適化、ソフトウェアエンジニアリング、プログラムおよび製品の管理などが必要になります。本パートナーシップは、量子コンピューティングの人材の多様性を拡大することに重点を置き、多くの学生たちがこれらのスキルを向上できるよう支援していきます。

Google は、量子コンピューティング分野の進歩は大きな課題であり、これには大学、企業、政府が協力し、責任ある開発と社会への広範な利益を確保することが重要だと考えています。本パートナーシップにおける日本および米国政府のご支援に感謝します。