AlphaBeta は、世界市場を形成する要因を特定し、豊かで快適な暮らしを生み出すための実践的な計画を策定することに注力しています。私たちは地理空間技術がそうした要因の一つだと考えており、デジタルマップとその背景にある基礎技術の影響評価を行うため、Google から委託された本研究に取り組みました。
ユーザーにとってデジタルマップの価値はどのくらいあるのでしょうか?この技術はより広い経済環境にどのような影響を及ぼしているのでしょうか?社会はそれらを最大限に活用することができるでしょうか?
私たちは、 6 の地域の22 か国で消費者調査を行うとともに、その他の評価手法 (オンライン求人情報のビッグデータ分析など) を活用し、地理空間サービスは以下大きく三つの影響を与えていることが分かりました。
消費者の利益
地図の利用によって人々はより迅速かつ効率的に移動や買い物を行うことができます。例えば:
デジタルマップは移動時間を平均 12% 短縮します。
ナビゲーションや製品在庫の確認など、デジタルマップで入手可能な情報を利用することで、消費者はより効率的に商品にたどり着くことができます。これによって年間 210 億時間が節約されています。
調査回答者の 63% が、行ったことのない場所で安全な経路を計画するためにデジタルマップを利用しています。
マップは企業をより目立たせ、生産性や収益性を向上させています。
デジタルマップは、ビジネスの営業時間、連絡先、レビューなどの有用な情報を提供することにより、1 兆ドル以上の売上げ向上に貢献しています。このマーケティングチャンネルは、追加の広告費用を発生させることなく潜在的な新規顧客を見つけることができるため、中小企業にとって特に重要となっています。
地理空間サービスは、企業が収入を増やしたり、コストを削減したり (最大 5%) するのに役立つ戦略的役割も果たしています。たとえば、小売企業は市場調査にデジタル地図を使用し、店舗ネットワークで最も収益性の高い場所を特定しています。主要市場におけるトップアプリの最大 15% は、地理空間技術によって支えられています。
マップは世界中の環境や社会に波及的な効果をもたらしています。
地理空間サービスは、推定 400 万の雇用を創出しており、間接的なものも含めるとその数は 800 万を超えています。
デジタルマップによって、より効率的なルートや、簡単に代替交通手段を探すことができるようになったおかげで、自動車による CO2 排出量が 1,686,000,000 メートルトン削減されています。
地理空間技術を使うことで、国によっては緊急時対応時間を最大 20% 短縮することができます。他にも、洪水などといった自然災害の備えに役立つこともあります。
国や地域によって地理空間サービスが与える影響は違いますが、それはまだこれからこの技術がもたらす経済的価値を最大化する余地があるということを示しています。そうするには、地理空間産業、企業、民間団体、政府が協力し、地理空間技術の新しい運用方法の普及・採用・実施を実施することが不可欠となります。
Posted by Google マップ ヴァイスプレジデント、ジェン フィッツパトリック
なお、日本国内およびAPACの地理空間産業の影響については、こちらの図をご覧ください。(英語版のみです)