Japan Blog
Google のサービスや技術に関する最新情報が気になる方へ
Google AI for Japan: AI 人材の育成と技術活用促進を目指して
2019年7月10日水曜日
医師による疾患の早期発見を助けたり、障害のある方を支援したり、また、災害復旧支援など社会のために、AI 活用が有効な事例が増えています。たとえば、
国立がん研究センター東病院
は、がんゲノム医療(プレシジョン・メディシン)におけるゲノム解析プロセス短縮を目指した AI モデル開発の研究をされています。同モデルは、病理画像を用いて遺伝子異変を推測するもので、今春には
9 割を超える精度
を達成されました。
私たちは、日本が社会的に困難な問題に立ち向かい、様々な課題の解決に挑戦する上で、AI という技術が貢献できる可能性は無限に広がっていると考えています。そこで本日、Google は「Google AI for Japan」を発表します。この新しいプログラムは、次世代の AI 人材育成を支援するとともに、ビジネスや社会課題解決に向けた AI 活用促進、さらに国内の AI 研究への貢献を目的としています。
日本の次世代 AI 人材の育成を支援
まず、もっとも重要な取り組みとして、次世代の AI 人材育成支援を目的に、研究助成金をはじめ、フェローシップ・インターンシップ プログラム、さらに教材・ツールを提供します。今回、 AI 研究を推進されている 6 名の研究者を対象に、それぞれ 5 万米ドル(500 万円相当)の助成金を提供します。今回、受賞される研究者の皆様は以下の通りです(五十音順)。
国立情報学研究所 国立情報学研究所 コンテンツ科学研究系 教授 山岸 順一 様 「頑健かつ汎用的なニューラルソースフィルタモデルの研究」
京都大学 情報学研究科 教授 河原 達也 様 「意図のモデル化を用いた End-to-End 音声言語理解と対話生成 」
東京工業大学 科学技術創成研究院 教授 奥村 学 様 「単一文書要約としての文脈アウェア文圧縮」
東京大学大学院 新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻 教授 杉山 将 様 「限られた情報からの機械学習」
東北大学 大学院情報科学研究科 システム情報科学専攻 教授 乾 健太郎 様 「知識ベースとしての言語モデル:知識の表現・獲得・検索・推論の統合に向けて」
奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 教授 中村 哲 様 「視覚聴覚情報を統合するマルチモーダルスピーチチェーンの研究」
上記に加え、Google では、東京大学で情報科学を学ぶ学生に向けた AI の授業を支援している他、東京オフィスで Google の AI 研究者やエンジニアと共に研究するフェローシップやインターンシップ プログラムを展開しています。さらに、開発者の皆さんを対象に、機械学習の初心者からエキスパートまで幅広いトレーニングも提供しています。これらのトレーニング プログラムは大変ご好評をいただいており、たとえば、機械学習のトレーニングを無料で提供する「
ML Study Jams
」には、2019 年だけで 4,800 人を超える日本の開発者が参加しました。また、機械学習に特化したイベント「
Google Developers ML Summit
」にも全国から多くの開発者が参加しており、
明日開催を予定している ML Summit
にも 600 人以上が来場する予定です。
また、もう少し ”未来の” AI 人材を育成する施策として、小学 5 年生〜中学生を対象にした
教材
の公開も行っています。これは、文部科学省、総務省及び経済産業省が今年 9 月に実施する「
未来の学び プログラミング教育推進月間
」の協力企業として参加しているもので、教員の先生方が簡単に AI の仕組みや開発を授業に取り入れることができる内容となっています。
Google Developers ML Summit Tokyo の様子
日本における AI 研究への貢献
2018 年 4 月、東京オフィスに AI 研究者のチームが発足して以来、同チームは様々な研究成果を発表してきました。これらには、
強化学習の基礎研究
や
日本語の高低アクセントのための音声モデリング
、ニューラル機械翻訳など、様々な研究テーマが含まれており 10 本以上の論文として成果を公開しています。Google が今年 4 月に発表した
End-to-End の音声翻訳モデル
の開発には、東京オフィスに勤務する研究者も参加しており、モデル開発に大きく貢献しました。さらに、同チームは日本の学術機関とも協力して研究活動を行っており、国立情報学研究所の研究者による
「古典文学の分析への機械学習技術の応用」に関する研究
はその一例といえます。
日本のビジネスや社会的課題の解決における AI 活用を支援
AI ツールは、日本中の様々な分野で問題解決のためにすでに活用が始まっています。たとえば、福島県南相馬市は、テクノロジー企業であるエアロセンス株式会社と協力し、除去土壌の仮置場の安全性管理のために、Google のオープンソース機械学習プラットフォーム TensorFlow を利用しています。
Google は、AI が医療、農業、製造をはじめとする分野で、多くのビジネス課題や重大な社会的課題を解くための強い味方になると考えています。Google AI for Japan プログラムの 3 本目の柱は、社会にとって重要な課題に AI を活用できるようにするための支援です。
Google では、機械学習プラットフォーム TensorFlow のオープンソース化に加え、Google Cloud AutoML、Cloud TPU、Cloud AI API などの各種 AI 製品をはじめとするツール、トレーニング、サポートを Google Cloud を通じて開発者や事業者の皆さまに提供しています。 2018 年には、Google の AI や機械学習エキスパートと協力してビジネスを革新するための Advanced Solutions Lab (ASL) を開設し、日本中の企業が AI によるビジネス上の課題解決に取り組めるよう、積極的なコラボレーションを行っています。
AI 活用の推進においては、ツールやリソースを自由に利用できる環境整備はもちろんのこと、今後、日本が直面する様々な社会的課題の解決に向けて、意欲的な研究の支援に加え、様々な機関との協力が重要だと考えています。日本には、長年に渡る優れた研究と教育の伝統があり、成長を続ける活発な機械学習コミュニティが存在します。AI が真に社会に有益な技術として日本に貢献できるよう、今後も開発者、企業、学術機関等と協力して参ります。
Posted by Jeff Dean, Senior Google Fellow, Head of Google AI
責任ある AI 開発: 基本理念を実践に
2019年7月9日火曜日
私たちは、日々、AI の活用が世界中の人々を支援し、生活の向上につながる多数の変化をもたらしていることを目の当たりにしています。たとえば、放射線科医による
肺がんの検出サポート
や、インドの農村における
識字率向上アプリ
、
絶滅危惧種の保護活動
、さらには
洪水を予測する取組み
や、
地震の余震を予測する研究
では、AI が自然災害の軽減に寄与するとともに、人命の救助にも役立てられています。
AI の活用で、これまで不可能だと思われていた事が可能になるとともに、AI をめぐる公平性やプライバシーについても議論が交わされています。このような対話は国際社会全体の関与が必要であり、非常に重要なものです。そこで今日は、昨年発表した Google の研究及び製品開発における AI の倫理的な利用を定めた「
AI の基本方針
」について、最新情報をご案内します。
社内教育
AI に関連する重要な問題を理解し、責任ある AI の活用を実践するためにはどうすれば良いか社員が深く考えることができるように、Google は社員の教育に注力しています。この 1 年、数千人の社員が機械学習の公平性(Fairness)について学ぶ研修に参加したほか、倫理研修を 4 か所の Google オフィスで試験的に実施、AI 倫理に関して社外の知識人を招いた研修会も世界 3 大陸で実施しました。
ツールと研究
昨年一年間、Google は知見の共有、技術的なツールや製品の開発に加え、すべての人に役立ち、責任ある、そして倫理的な AI 開発フレームワークの構築に重点を置いてきました。たとえば、
機械学習の公平性
、
説明可能性
、
プライバシー
、
セキュリティ
といった責任ある AI に関連する 75 以上の研究論文を発表した他、12 の新しいツールを開発・公開しています。以下はその一例です。
What-If Tool
は、コードの記述なしで ML モデルの分析を可能にする新しい機能です。バイアスやさまざまな公平性を制約する要素の影響を可視化し、複数のモデル間でパフォーマンスを比較することができます。
Google 翻訳は、ある単語に対して、男性と女性の両方を前提とした翻訳文を併記することで、
性別の偏りの軽減
を目指しています。
フェデレーション ラーニング
は、データをローカルに保持しながら AI モデルをトレーニングして製品を向上できるようにする、機械学習の新しいアプローチです。Google は、この取り組みを拡大するとともに、技術を
TensorFlow Federated
としてオープンソースで公開しています。
人間中心の AI 製品を開発する方法や意思決定の枠組みを
People + AI Guidebook
として 5 月に公開しました。同ガイドブックには、 Google で製品開発を担当している40のチームが執筆に参加しました。
Google では、「
責任ある AI の実践
」において、最新の技術的知見や社内の取組みを四半期ごとに更新しています。
検証プロセス
検証プロセス
は、私たちの AI 開発における基本方針を実行に移す上で重要な役割を負っています。社員においては、担当プロジェクトを基本方針に照らして検証するプラクティスを推奨するとともに、新規プロジェクトや製品、取引を慎重に検証し評価するプロセスの継続的な向上に努めています。評価においては、そのプロジェクト等が提供できる価値と、リスクを軽減する方法を考慮しています。その例を以下に 2 つご紹介します。
Cloud AI Hub
企業や組織は、
Cloud AI Hub
を利用することで、学習済みのさまざまな機械学習モデルに容易にアクセスしたり、共有したりすることが可能です。ただし、AI Hub に投稿されるコンテンツの多くは Google 以外の組織によって公開されるものであり、AI の基本方針に照らしてすべてのコンテンツを評価することは困難です。そのため、AI Hub の公開に先立ち、倫理的な問題がないか、有害な二次利用、悪用、または誤解を招く情報の提示の可能性等を含む要素を検証しました。検証過程において、潜在的に危険かつ有害なコンテンツを処理するために、以下の 2 段階のアプローチを採用しました。
コミュニティメンバーに対し、不公平な偏見を助長するような問題を見つけた場合、それを是正するようなアクションを推奨する: コミュニティ支援策として、Cloud AI では、ユーザーが信頼できるコンテンツの識別に役立つリソース (
偏りのない ML のためのガイド
など ) を提供しています。
Cloud AI Hub の利用規約
において、コンテンツの制限と行動規範について記載した項目を設けました。
上記のような対策をセーフガードとして導入することで、AI Hub のコンテンツ エコシステムの有用性及びコミュニティの安全性を高められる可能性を考慮し、AI Hub の公開に踏み切りました。
Text-to-speech (TTS) に関する研究論文
AI 研究において、これまではわずかに異なるタスクを実行するためであっても、一から大量のデータを元にシステムをトレーニングしなおさなければいけないとされていました。この問題を解くために、Google の研究グループはある研究論文を公開しました。この論文では、一度トレーニングしたシステムをこれまでよりはるかに少ない時間とデータで新規の話者たちに対して適応させる、効率的な Text-to-speech (TTS) ネットワークについて詳述しています。
このよりスマートな Text-to-speech ネットワークは、発話障害、ALS、または気管切開を受けられた患者さんの役に立ちますが、詐欺目的での音声の合成など、有害な用途に用いられる可能性もあります。
この論文においても先程と同様に検証を行いました。その結果、このテクノロジーを機能させるために必要なデータの質などを考慮し、同論文が扱うテクノロジーが誤用される可能性は限定的であると結論づけました。インターネット上で恣意的に集められた音声記録はデータの要件を満さないこと、また、聞き手が、話者の声と Text-to-speech ネットワークによって生成された音声サンプルを聞き分けられるだけの十分な違いがあることから、
Google の AI 利用における基本理念
に照らして、論文の公開を決定しました。Google では、このような検証の手順を踏むことで、誤用や悪用の可能性を検出・防止するべく、今後も取り組んで参ります。
外部ステークホルダーとの協力
幅広いコミュニティとの継続的な対話は、社会的責任に基づいた AI 開発には欠かすことができません。Google は、政策立案者やテクノロジー業界との対話に参加しており、 100 以上のワークショップ、学術会議、サミットへ参加し、世界 4,000 を超えるステークホルダーの皆さんと協力しています。
AI の進化に伴い、私たちの考え方やアプローチを継続的に共有するとともに、AI の責任ある発展に向けて、学界や産業界、政策立案者の皆さまと対話を続けて行きます。Google は、特定の分野や用途に合わせたスマートな規制を支援しており、AI ガバナンスへの実用的かつ将来を見越したアプローチを促進するために、本年初頭にホワイトペーパーを公開しました。
この文書
では、AI のための枠組みを構築するために、政府が市民社会や AI の実務家と協力すべき 5 つの分野を概説しています。
私たちがしなければならないことは増えることはあっても、減ることはありません。人類にとって有益なテクノロジーの殿堂に AI が入るためには、対話、検証、そして広い視野が求められています。今後とも、Google は各界のリーダー、政策立案者、学界やその他の関係者とともに、この重要な問題に取り組んで行きます。
Posted by Jeff Dean, Google Senior Fellow and SVP, Google AI / Kent Walker, SVP, Global Affairs
ラベル
.org
Accessibility
AdSense
AdWords
AI
Android
Android One
Android Pay
API
AR
Blogger
Browser
campaign
Chrome ウェブストア
Chromecast
CM
COVID
CS Edu
Design
Developer
DevFest
Devices and Services
Doodle
Doodle 4 Google
DoubleClick
Driving Directions
Earth
Engineering
Enterprise
Fitbit
Gboard
Gears
GEO
Glass
Gmail
GNI
Google Account
Google Apps
Google Assistant
Google Buzz
Google Chrome
Google Cloud
Google Code Jam
Google Developer Day
Google Earth
Google for Work
Google Home
Google Home app
Google Maps
Google Now
Google One
Google Pay
Google Photo
Google Play
Google Science Fair
Google SketchUp
Google Translate
Google Wallet
Google アートプロジェクト
Google アシスタント
Google クライシスレスポンス
Google ショッピング
Google で、もっと
Google ニュース
Google プレイス
Google マップ
Google 検索
Google 日本語入力
Google+
Googleレンズ
gTLD
Hardware
HTC
iGoogle
JAXA
MBG
Meet
Motion Sense
MUM
Nest
news
Nexus 7
Nexus Player
OpenSocial
Picasa
Pixel
Pixel 4
Pixel 7a
Pixel Buds
Pixel feature drop
Pixel Fold
Pixel portfolio
Pixel Tablet
Pixel Watch
Playground
Search
Security
SHARP
Soli
Sustainability
Tensor
Tool bar
toolbar
Trend
Wear OS by Google
Women
Women Will
Work Smart
Workspace
YouTube
イノベーション東北、復興支援
イベント
インターンシップ
ウェブレンジャー
エンジニア
エンタープライズ
おみせフォト
カルチャー
クラブ活動
グループ
ごちそうフォト
さがそう
サンタ
ストリートビュー
スペシャルコレクション
スポーツ
セールス
セキュリティ
ツールバー
ディスプレイ
デスクトップ
デベロッパー
ドメイン
トレッカー
パートナー
パートナープログラム
ブラウザ
プログラミング
ヘルプ
マイマップ
モバイル
モバイル Google マップ
モバイル検索
ランキング
リッチ スニペット
音声検索
画像検索
学生
京セラ
教育
検索
広告
高校生
採用
女性の活躍
小笠原諸島
乗換案内
政治・選挙
節電
地図
中学生
東日本大震災
富士山
翻訳
未来へのキオク
未来への働き方コンソーシアム
過去の投稿
2024
3月
2月
1月
2023
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
2022
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月
2021
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
2020
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月
2019
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月
2018
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月
2017
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月
2016
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月
2015
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月
2014
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月
2013
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月
2012
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月
2011
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月
2010
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月
2009
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月
2008
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月
2007
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月
2006
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
Feed
Follow @googlejapan
Follow
メディア関係者向けお問い合わせ先
メールでのお問い合わせ:
pr-jp@google.com
メディア関係者以外からのお問い合わせにはお答えいたしかねます。
その他すべてのお問い合わせにつきましては、
ヘルプセンター
をご覧ください。