2007 年 12 月 26 日
Posted by Developer Program チーム
オフラインでもオンライン感覚で使える Web アプリケーション。これを実現する手助けとなる技術が
Google Gears です。それでは、実際に Google Gears を利用したアプリケーションはどのようなものがあるでしょうか?
石原 : さて、これぞという Google Gears を使ったサンプルアプリケーションを紹介していただけますか?
市川 : はい。私が紹介するのは、
GearsMonky というテクニックを利用した Gears 版はてなブックマークです。このアプリケーションは、ユーザが入力したキーワードを含むブックマークのみを一覧表示するものです。検索フォームにキーワードが一文字ずつ入力されるたびに、ほぼリアルタイムに結果が変わっていく様子をご覧いただけるかと思います。このアプリケーションは、はてなブックマークの各ページをローカルデータベースにキャッシュします。実際の検索は、 SQL の like 演算子を用いており、条件となるキーワードが追加される度に検索を行っています。ご覧いただくとわかるように、 Google Gears を利用することによって、レスポンスの良いウェブアプリケーションを構築できるのです。
伊藤さん : 私は2つのアプリケーションを紹介します。一つは、
Infosketch という個人用の Wiki システムです。 HTML と JavaScript 、そして Google Gears を組み合わせて開発しました。ユーザからの入力はローカル PC 内に保存されます。 Infosketch は、ページ内のブロックをドラッグ&ドロップで移動したり、コピーすることもできます。そして、もう一つが「
SQLAdmin for Google Gears 」です。こちらは SQL の動作を GUI ベースの確認するためのツールです。
この他にも、松尾さんからは wikipedia を Gears 対応したサンプルアプリケーションが紹介されました。
さて、 Google Gears に対応したアプリケーションの紹介に続いて、 Google Gears のビジネスというテーマについてのディスカッションが行われました。
石原 : Google Gears をビジネスで活用する上で、何が気になる点はありますか?
松尾さん : ビジネス化という点では、ライセンスが気になりますね。
河内 : Google Gears は New BSD ライセンスの元でオープンソースとして提供されています。したがって、 Gears をアプリケーションにバンドルして再配布することは可能です。最近、企業向けシステムでこうした質問を良く受けます。
石原 : それでは、 Google Gears を使ったビジネスとして何かアイデアはありますでしょうか?
安藤さん : 既存のオンライン化されているさまざまなアプリケーションを Gears 対応にするというのはいかがでしょうか? Google Gears によって、レスポンスをさらに向上させた新しいタイプのアプリケーションが実現できると思います。オンラインでも使えるし、オフラインでも使えるということは、一つのアプリケーションの価値を2倍にアップすることになります。もちろん、オンライン時とオフライン時でのデータの同期問題やユーザビリティの統一などの課題は残りますが、既存のアプリケーションの価値を2倍にするというのは大きな魅力といえます。
岡崎さん : 企業や組織内デベロッパーは日々の開発業務に追われて、なかなか新しい技術に目を向けることができません。そこで、直球勝負ではなく、変化球で責めていくアプローチはいかがでしょうか? たとえば、マウスやキーボードといった標準的な入力デバイスに加え、これからはゲームコントローラがエンタープライズシステムでも利用されるかもしれません。この時にゲームコントローラからの入力を Google Gears 経由で処理する、こうすれば Google Gears の利用促進にもつながるかもしれませんね。
伊藤さん : Google Gears はビジネスチャンスを広げるきっかけと言えるのではないでしょうか。 Google Gears によってウェブアプリケーションも多彩になると思いますし、これまで大企業ではフォローしきれなかった小さいアプリケーションで確実にビジネスチャンスをつかむ、そんな時代を期待しています。
次回もこのビジネスの話題は続きます。お楽しみに。